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就活本番、大学「G5」に熱視線 即戦力求める企業

グローバル化、一歩先行く5大学・学部 

  1日、就職戦線が本番を迎えたが、「G(グローバル)5」と呼ばれる大学・学部の学生に企業が熱視線を送っている。英語が堪能で外国人ビジネスマンとも直接交渉できる人材――。多くの企業がグローバル化を急ぐなか、即戦力は引く手あまただ。企業の評価は東京大学を頂点とする偏差値序列を変える力にもなるかもしれない。

■解禁前に説明会

 11月26日。3年生の就職戦線は解禁前のはずだが、国際基督教大学(ICU)の構内では、「業界研究」という名目での企業による説明会が始まっていた。外資系企業や省庁ばかりではない。素材、エネルギー、海運、食品……。就職協定をうたう経団連の代表銘柄も続々とICUを訪れ、自らをアピールした。

  12月4日までの7日間、大学が用意した80の説明時間枠はあっという間に埋まった。総合商社やメガバンクなどの人気銘柄も今では必ず求人票を自ら持って三鷹市内のキャンパスを訪れる。「5年ほど前まで、ICU生の就職先といえば外資系が多かったが、わずか数年で大きく変わった」(篠田薫就職相談グループ長)。

 2004年に開学した秋田市にある国際教養大学(AIU)。12月以降、160社を超える企業が同校を訪れ、企業説明会を開催する。同校の卒業生は年200人に満たないが、熱心な企業は3月までに2度、3度と秋田入りを繰り返す。

 G5の仕掛け人は、2月に急逝したこのAIUの中嶋嶺雄前学長だった。10年頃、ICUや早稲田大学国際教養学部、立命館アジア太平洋大学(APU)に呼び掛け、連絡会組織を作った。その後、上智大学国際教養学部も参加して現在のG5が生まれた。

  多くの留学生を抱える中で発生するビザの取り扱いなど基本的なトラブルへの対処から、イスラム国の留学生の祈りの場所をどこに確保するかなどのノウハウを共有。就職活動の取り組みも、担当者間で月1度テレビ会議で情報交換する。
 

  多様な留学生が集まる国際教養大学の入学式(2010年、秋田市)=同大学提供

 G5の大学は授業が原則英語で行われたり、留学が卒業するための必要事項になっていたりする。各校とも留学生が多く在籍し、日常的に外国人と接触が多い。英語で考え、英語で表現する。そんな学生生活を送った学生は、海外事業を重視する企業から即戦力として高く評価される。

■英語「800点」必須

 各大学の就職先企業を見ればその傾向は顕著だ。AIUでは就職した学生の半分以上が製造業に向かう。ICUと上智大学国際教養学部では英語を社内公用語化した楽天の採用の多さが目に付く。同社は「内定者には入社までにTOEIC800点以上を求める」(グローバル人事部)。技術職はすでに内定者の6割が外国人で、国内勤務であっても英語の必要性は高い。英語力にたけたG5の学生は重宝される存在だ。

   企業の評価は大学・学部への評価にもつながる。河合塾の算定するAIUの偏差値は67.5。東京大学文科一~三類の70.0に次ぐ水準。早大国際教養学部も偏差値67.5。創設10年足らずで、文系の看板学部である政治経済学部と同水準に達した。「今年初めて政経と両方合格して、国際教養を選んだ学生がいた」(森田典正学部長)と若い学部の成長を喜ぶ。 受験者数にも人気は反映する。少子化が進み、各大学が学生集めに苦慮するなか、とくにAIUと早大国際教養の伸びは顕著だ。明治大学や法政大学など他大学も類似の学部を看板に育てようとしている。


  一方の東大。英教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーションが10月まとめた「2014年版世界大学ランキング」によると、23位だった。アジアでの首位は維持したが、欧米の有名大学に比べて劣ったのは「国際化」の評価が低かったためだ。学部の外国人留学生比率はわずか1.7%。海外へ留学意欲も低く、“内弁慶な秀才”のイメージがつきまとう。


  就職に強い大学と言えば、歴史と伝統のある名門大学だった。だが、今の企業が欲しいのは海外でも通じるタフな人材、即戦力だ。G5への高評価はブランドに頼るだけでは、乗り切れなくなってきたことの証左でもある。(宇野沢晋一郎)
                                                                                                                                        

                                                                                                                                             [日経産業新聞2013年12月2日付]